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その名はエイミー

「『ゲームの中なのに……』ですか?」
女性は、和彦の想っていることを口にした。
「……。」
和彦は訝しがるような目で女性を見た。
「では、このゲームについて、ご説明させていただきます。」
女性は、怪訝な顔つきになった和彦を見ながら、笑みを浮かべて説明を開始した。
「申し遅れましたが、私はエイミーと申します。
 このゲームのコンシェルジュです。」
「コンシェルジュ?」
和彦はオウム返しのように口にした。
「そう…。」
エイミーは右手の人差し指で自分の顎を下から押すような仕草をし、
「まあ、ゲームで言うところのヘルプ機能というところです。」
と面白そうに言った。

「さて、このゲームは我が社が誇る最新鋭のゲームです。
 今までも、バーチャルリアリティとしたゲームはたくさん出回っていますよね。
 大抵は、視覚、聴覚で仮想現実を作り、その中で様々なゲームを楽しまれているかと思います。
 そうですね、最近では嗅覚も少しくすぐるようなものが出てきたかしら。
でも、匂いのしみ込んだアタッチメントを使って嗅覚を刺激しているだけですが。
 で、このゲームは、視覚、聴覚だけではなく、人間の五感、そう、嗅覚、味覚、触覚までも感じることが出来ます。」
「嗅覚、味覚。
 触覚も?」
和彦は、先ほどエイミーに握られた手の感覚を思い出した。

(確かに、柔らかく、温かだったな。
 それにしても、この娘も綺麗だな…。)
そう思いながら和彦はぼーっとエイミーを眺めていた。
「なので、ゲームを始める時、ゴーグルやヘッドセットだけでなく、電極のようなものがたくさん付いたヘッドギアを被っていただいたかと思います。
 その装置が、マスターの脳波とシンクロし、マスターが想像したもの、頭の中に思い描いているものをバーチャルリアリティとして再現しています。
 この書斎や装飾もそうですね。
 ぼんやりとこんな風景がいいなと思ったものをコンピュータがより現実的なものに描写し、お見せしています。
 それが視覚。
 今、時計の音が聞えますよね。」
「え?」
和彦が静かに耳を澄ますと、カチコチと書斎にあり柱時計の振り子の音が聞えてきた。
「それが、聴覚。
 また、先ほど、この書斎に入ってきた時にカビ臭いと思われたと思います。
 その後、私が薔薇の匂いのする服を着ていますというと、部屋中にバラの香りが漂ったと思います。
 それが、嗅覚。
 いま、コーヒーをお召し上がりになって、美味しいと感じられましたよね。
 それが味覚。
 私の手を触って……。」
コホンと、エイミーは話を遮って、少し顔を赤らめ咳ばらいをした。
「で、それが触覚です。」
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電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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