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頭は大事!

~今回は少し長いですが、お楽しみください~

和彦は、エイミーに渡され被らされていたヘルメットが気になって仕方がなかった。
ヘルメットは、道路工事に使用するような形ではなく、バイクに使うような耳まで覆うそこそこお洒落なヘルメットだったが、バイクも持っておらず、ヘルメットを被ったことのない和彦にとっては例えガンダムのパイロットの被るヘルメットであっても違和感の塊だった。
(だって、ヘルメットを被ると髪の毛が…っていうじゃない)
と、何の根拠もないことを考えてしまう和彦だった…。

「マスターこそ、大丈夫?」
ターニャが、和彦のヘルメットを指さして言った。
和彦はヘルメットを脱いでみると前頭部のところに水圧銃の弾丸が直撃したせいか、凹みがあっていた。
「メットが無かったら、頭割られていたかな……。
くわばら、くわばら。」
「くわばら?」
ユッカが不思議そうな声を上げる。
「ああ、魔よけのおまじないみたいなものだよ。
 弾が当たりませんようにってね。」
「くわばら、くわばら。」
「くわばら、くわばら。」
ターニャとユッカは面白そうに復唱した。

「何を燥いでいるの。
 マスター、大丈夫ですか?
 いったんログアウトして、怪我の手当てを…。」
「あ、大丈夫。
 もう痛みも何にもないから。」
エイミーの心配そうな声を遮って、和彦は明るい声で返した。
その時、女性の声が割り込んできた。
「こら。
 いつまで、遊んでいるの?
 このステージのラスボスが市街地に入って来ちゃいますよ。
 侵入されて、建物を壊し、住民に被害が出るとボーナスがなくなっちゃいますよ。」
「え?
 それは大変。
 て、誰?」
聞えた声は、ターニャでも、ユッカでも、ましてはエイミーでもなかった。

和彦は周りを見回したが、誰もいなかったので、ともかくステージのボスの迎撃に向かおうとしたが、ターニャがそれを止めた。
「マスターちょっと待って。」
「え?
 どうかした?
 トイレか?」
パシーンという音とともに、ターニャの平手が和彦のヘルメットに当たりいい音がした。
「ご、ごめん…。」

ターニャは和彦を睨みつけるとエイミーの方に話しかけた。
「エイミーちゃん、マスターのヘルメットを交換しないと。
 次に直撃を受けたら、このヘルメット割れちゃうよ。
 そうだ、ヒトミちゃんに連絡して、マスターをバトルフィールド用に強化してもらったら?」
「あっ、その手があったわ。
 というか、それをやっておかないといけなかったの、忘れていたわ。
 急いで、連絡するわね。
 ありがとう。」
エイミーはそう言うとすぐにどこかに連絡を取っているようだった。
そして、すぐに和彦の身体が一瞬光ったように見えた。

「マスター、今、マスターの身体をバトルフィールド用に強化してもらいました。
 なので、ヘルメットは不要です。
 でも、顔から上は直撃を受けないように気を付けてくださいね。
 いくらヘルメット並みに強化しても怪我して痛い思いをしますから。」
エイミーの説明では、和彦の身体は、通常よりも怪我と痛みを緩和させるように多少だが強化され、特に頭部については安全性を考えヘルメットをかぶっていると同じように強化されているとのことだった。
「ありがとう。
 ヘルメットは慣れていないせいか着け心地が悪かったんだ。
 よかった。
 じゃあ、ターニャ、ユッカ行こう。」
「はーい。」
和彦はターニャとユッカを引き連れて市街地の出口の方に向かって行った。

その頃、コマンダールームではエイミーが回収した和彦のヘルメットの損傷具合をチェックしていた。
「おかしわ。
 強化ヘルメットがこんなに凹むなんて。
 初級ステージの平キャラの威力じゃないわ。
 本部に報告しておかないと。」
エイミーは顔を曇らせた。

市街地の入り口にはウォルヘンを引き連れた大きなゴリラのようなグレートウッホがまさに市街地に足を踏み込もうとしていた。
「ユッカ、その大木をグレートウッホに向かって切り倒して。」
「はい、マスター。」
そう言うとユッカは高さが10m以上あろうかという大木を斧で切り倒した。
大木は、グレートウッホに向かって倒れていき、グレートウッホは、思わず後ろに飛び下がった。
「ターニャ、ユッカ、カバー!」
そう言うと和彦はグレートウッホに向かって走り出した。

しかし、和彦は5,6歩走ったところで、足がもつれバランスを崩した。
そこへウォルヘンが攻撃を仕掛けてきたが、同時に飛び出したターニャとユッカがコンビネーションプレー、ウォルヘンの電撃をユッカが斧で跳ね除け、その隙にターニャがラウンドイーグルで仕留め、退ける。
「マスター、大丈夫ですか?」
「さっきの頭に当たったダメージが?」
ターニャとユッカは和彦のすぐ傍に来て、心配そうに和彦の顔を覗き込んだ。
「いや、大丈夫。
 ちょっとよろけただけ。」
(よく子供の運動会でいいところを見せようと気持ちで走るが、身体が付いていけずによろけて転ぶってやつか
これは、まじで体を鍛えないと洒落にならないな。)
和彦は、運動という運動をここ数十年やっていなかったので、体力も衰え、息切れと脚がもつれたこと痛感した。
ただ、通勤定期代の節約で、本来の停車駅の3つ前までの定期を買い、お家まで40分位かけ歩いているくらいだった。

和彦は、深呼吸をした後、再び走り始め、TM55の威力が100%になるところまでグレートウッホとの距離を縮め、正面から向き合い、TM55をブレット(弾丸)モードにして、引金を弾いた。
「ぎゃっ、ぎゃっ!!」
TM55のブレットをまともに受けたグレートウッホは、瞬く間に霧散する。
「マスター!」
ターニャとユッカが和彦の傍らに走り寄った。
「二人とも、大丈夫?」
「はい、それよりマスターは?」
和彦は、にやりと笑って、右手の親指を勝利のポーズの様に立てて見せた。
(まだまだ、俺だって出来るんだ。)
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プロフィール

電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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