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アイ・ショット・ザ・シェリフ

和彦はコマンダールームの第7ステージの扉の前に立つと、ターニャとユッカに向かって話しかける。
「さてと、ターニャ、ユッカ、第7ステージに出発するぞ。」
ずっしりと重量感のあるショットガンを持ったせいか、和彦は気持ちが高ぶっていた。
はい、マスター!
ターニャとユッカは明らかに嬉しそうな声をあげ、和彦に付いて第7ステージの扉をくぐった。

和彦は、扉をくぐるや否や、目の前の景色が変わった。
第7ステージは、市街地だった。
ただ、何度も敵の攻撃を受けたせいか、建物のあちらこちらにひびが入ったり、崩れたりしていた。
市街地の住人は、その危ない建物の中でひっそりと息を殺すように隠れているようだった。
「このステージは、住民の開放もオプションについています。
 住民を傷つけず、敵を倒し、町を解放すると特別ボーナスとして、仲間を一人増やすことが出来ます。」
エイミーの声がヘルメットに内蔵しているインカムから聞こえてきた。
「そっか。
 じゃあ、慎重にやらないと。
 ところで、エイミー。
 このショットガン、試し撃ちしていないんだけど、どこかで撃ってみたい。
 街中で試し撃ちしても大丈夫?」
「え?
 街中はちょっと…。
 そうですね、近くに射撃場がありますから、そこで試し撃ちしてください。
 地図を送りますので、ゴーグルに映し出された矢印に従って行ってくださいね。」
「わかった。」

和彦は、そこで初めてターニャとユッカが、和彦の両脇にぴったりと寄りそっているのを感じた。
「本番の前に、試し撃ち。
 威力がわからないと、この前みたいに二人を巻き込むといけないからな。」
二人はにっこり笑って頷いた。
和彦たちは、ゴーグルに映し出された矢印に沿って歩いて行くと、射撃場とかかれたゴルフの練習場のような建物にたどり着いた。
建物からは、気だるいレゲエの音楽が流れていた。
「さすがゲーム、そのものずばりじゃん。」
和彦はそういうと建物の中に入り、TM55を構え、的にも向かって撃ち始める。
“ドウッ!”
“ドウッ!”
撃つたびに重低音の射撃音が響いた。
ターニャとユッカは、慌てて両手で両耳を押さえていた。

TM55は射撃の反動も軽くはなかったが、力を込めれば片手でも撃てる代物だった。
弾は散弾だが、先まで飛んでも、それほど広がらなく、文字通り、的をハチの巣にしていた。
アタッチメントを変えると、散弾から弾丸に切り替えができた。
弾丸の破壊力は、散弾より上回り、的を粉砕するに十分な威力だった。
「本当にすげーや。」
和彦は、TM55に心を引かれていた。

ある程度撃ち続けて、和彦は満足したような顔をして撃つのを止めた。。
「さ、お待たせ。
 だいたい使い方がわかったから、行こうか。」
和彦はTM55を肩に担いで、ターニャとユッカに話しかけると、颯爽と歩き始めた。
あ、マスター、待ってぇー!
待って、てばー!
ターニャとユッカは笑みを浮かべて小走りに和彦について行った。

広いロビーの受付の中に女性が一人、ぽつんと立っていた。
ロビーの中は明るく快適そうに見えたが、誰もおらず、また、ドアらしきものがないので、誰も尋ねてはこないような場所だった。
その受付の内側にモニターがあり、和彦がターニャとユッカを連れ、TM55を肩に担いで颯爽と歩いている姿が映っていて、BGMのようにボブマーリーとウェイラーズの『アイ・ショット・ザ・シェリフ』が流れていた。
女性は、その歌を口ずさみながらモニターを見ていた。
そして、モニターの横のスイッチを押すと、画面に映っている和彦が実年齢の和彦の姿に変わり、その和彦をうっとりするような目で眺めながら独り言の呟いた
「まあ、嬉しそうな顔をしちゃって。
 私は、実年齢の方が好きだなぁ。
 凛々しく素敵なのに…。
 …
 まったく、何にも知らないエイミーちゃんをコンシェルジュにするから、さっきみたいにバトルフィールドに降りるのを思いとどまらせようなんてして、はらはらしちゃったわ。
 でも、これでやっとスタートライン。
 これから、ゲームとは別に保安官退治という大事な役目もあるから、頑張ってくださいね。」
女性は、最期は真面目な顔で意味深な言葉を言うと、再び、モニターを見ながら歌を口ずさんでいた。
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電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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