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僕は、行きまーす!

和彦が、エイミーに話しかけると、誰かが和彦の肩を突いた。
「え?」
振り向くと、ユッカが笑みを浮かべて、ポリマーの容器を差し出し、顎でターニャの方を示唆した。
「え?
ええー!!」
見るとターニャは自分からポリマーを塗ることをせずに、知らん顔をしてそっぽを向いていた。
「!」
和彦は、ターニャを顎でしゃくるようにして、エイミーを見た。
「すみません。
 技術チームに改善を依頼しているのですが、どこもバグはないと。
 もう少し時間がかかると思いますので、マスター、お願いします。」
「え、そうなんだ」
(でも、修整しなくてもいいバグだけど…)
コホン!
エイミーが咳払いした。
和彦は、ユッカからポリマーの容器を受取り、ターニャの傍に行き、おもむろにポリマーの容器の蓋を開け、ポリマーを指でしゃくった。
ターニャは、それを見て、素知らぬ顔をして右腕を差し出した。
「はいはい。」
そう言いながら、和彦はターニャが差し出した腕に、人差し指でしゃくったポリマーを付け、それを掌で、ターニャの腕に伸ばしながら塗り込んだ。
ターニャの腕は、相変らず暖かく、また柔らかだった。
いつものように、両腕、首筋、顔と順番に塗り込み、最後に両脚に塗り込もうと、ターニャの右太ももにポリマーを付け、掌を置くと、ターニャの脚に一瞬、力が入った。
「え?」
和彦は、如何したのかとターニャの顔を見た。
ターニャは、少し顔を赤らめながら、そっぽを向いていた。
再び、和彦がターニャの脚にポリマーを塗り始めると、今度はいつものように力を抜いていた。
(くすぐったかったのかな?)
和彦は、そんなことを考えながら、塗り終わったポリマーの容器の蓋をした。

「エイミー、僕も参戦する。」
一瞬、間を置いて和彦は切り出した。
(え?
 告白じゃないんだ…)
エイミーは一瞬落胆した顔をしたが、すぐに驚いて和彦を見た。
「参戦って、マスター自らですか?
 バトルフィールドにでるんですか?」
和彦は頷いて見せる。
「マスター。
 前にも申し上げた通り、触覚、痛覚もあります。
 ですので、走れば疲れるし、何かに当たれば痛みを感じます。
 ましては、相手の攻撃を受けると、激痛が走ります。
 ゲームを終えた後、生身の肉体にも痛みが残ることもありますし、あまりに酷い怪我をされるとお身体に差しさわりがあるかと。」
「わかっている。
 ただ、見ているだけじゃなく、ターニャとユッカと一緒に戦(ゲーム)いたいんだ。」
「コマンダールームから指示することでも、一緒に戦っていませんか?
 この前は、上手に行きませんでしたが、ロボットを操作されたらいかがですか?」
エイミーは、珍しく食いついた。
「エイミー、僕は、実際にやってみたいんだ。」
和彦の真剣な眼差しを見て、エイミーは諦め、ため息をついた。
「わかりました。
では、ヘルメットとゴーグルをしてください。
 ゴーグルは、このモニターで見ていたものが、同じように映ります。」
「すげー!」
和彦は、ゴーグルを試して、感嘆の声を上げた。
「素肌のところに、ポリマーを塗るのを忘れないでください。
 武器は、ショットガンタイプのTM(ターミネーター)55を用意しました。」
そう言って、エイミーは、重厚なボルトアクションのショットガンを和彦に手渡した。
そのショットガンは黒光りしていて、いかにも狂暴そうな面構えと多彩な機能が付いていることが目に見えてわかった。
何よりも、通常のショットガンより銃身が長く、ライフル銃とショットガンが組み合わさったようだった。
「すげー、すげー!」
和彦は、小さい子供の用に目を輝かせ、『すげー』を連発していた。
そんな和彦を微笑んでみながら、すぐに心配そうな顔をしてエイミーは声をかけた。
「マスター、危なくなったり、敵の攻撃を受けたら、すぐリタイアしてください。
 私に向かって、声でもジャスチヤ―でも何でもいいです、直ぐに回収しますから。」
エイミーは心配そうな顔で言った。
「わかった。
 大丈夫だよ。」
和彦は、そう言うと、エイミーの頭を、銃を持っていない手で、やさしく撫でた。
「マスター……。
 本当に、無茶しないでくださいね…」
エイミーは、頭を撫でられて嬉しいのか、和彦の身体が心配なのか、どちらともとれるような複雑な顔をしていた。
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電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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