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逢いたいな

陣内の剣幕を聞きつけ、開発部の部長の小池が飛んで来た。
「まあまあ、陣内部長。」
「まあまあじゃないよ。
 いくら小池さんだって。」
陣内は小池に向かって不機嫌そうな顔をした。
「ともかく、まずは私がそこの若手二人を引き連れて、謝りに行ってきます。
 それと、リカバリープランも作成しているので、間に合えばそれも持って行きます。」
「小池部長が行くなら…。
 そのリカバリープランはいつできるの?
 いくら小池部長が謝りに行っても、多少なりと何か土産を持たせないと、お客さんも納得しないよ。」
「正式な形じゃなくていいから、原因とどんな対応が可能かだけでも、そうだな、あと10分で作って。」
小池は若いエンジニアに向かって指示した。
陣内は、具体的な話になっていたので、次第に冷静になっていった。
「はい、何とかします。」
「で、この人は何してくれるの?」
陣内は、そう言いながら、ちらりと和彦を見た。
和彦は、偉そうに怒鳴り散らす人種は嫌いだったので、無言で陣内を眺めていた。
なんで、黙っているんだよ!
陣内の顔は、また怒りで赤くなって来ていた。
「まあまあ、陣内部長。
 小日向君には、報告書や始末書を作ってもらうので。」
「ふん。」
そう言って陣内は、和彦に背を向けて部屋から出て行った。

「小日向君も、頼むよ。
 やっぱり、ちゃんとお客さんのところに顔を出さなくっちゃね。」
そう言うと、小池も和彦に背を向けて歩き去った。
「あの…(だって、この二人が余計なことをするなと)」
和彦は、小池の背中に向かって、言いたかった言葉を飲み込んだ。

(まったくパワハラもいいところだよ。)
陣内の剣幕を思い出しながら、和彦は帰宅した。
(でも、夕方位に営業部のPC、コンピューターウィルスに感染したって、大騒ぎになっていたなぁ。
 大丈夫だったんだろうか…。)
背広を脱いで、椅子に腰かけ、脱力感を感じていると、目の片隅にゲームチューナーが目に留まった。
(疲れているけど、エイミーやターニャ、ユッカに逢いたいな。
 ちょっとだけ、ゲームをやって、早く寝よう。)
そう思いながら、和彦はいそいそとゲームの準備をし、布団に横になった。

眼を閉じるとすぐに、もう見慣れたヒトミが登場し、今回の設定について確認してきた。
「今回の設定は、いかがなさいますか?」
「ああ、この前と同じで。」
「わかりました。
 30代ですね。
 他、何か変更はございますか?」
「ううん、ないです。」
「今日は、お疲れだったでしょう。
 でも、気晴らしに、“うーん”と楽しんできてくださいね。」
「え?」
和彦が聞き直そうとしたが、ヒトミは笑顔で会釈し、消えていった。
(いつもより、優しいなぁ。
 でも、本当にあの子に似てるな。)
和彦は、ヒトミに初恋の人の面影を感じていた。
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電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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