変わり果てた…

ターニャとユッカの変わり果てた姿を呆然と見ていた和彦が重い口を開いた。
「エイミー、二人は…大丈夫?」
「はい。
 但し、ダメージがひどいので、一度、ゲームを終わらせ、リセットさせなければなりません。」
「元に戻るのか?」
「はい。」
エイミーはか細い声で訊いてくる和彦に心配そうな声で答える。
「そうか。
 じゃあ、よかった。
 でも今度、会ったら嫌な顔されるな…。」
「マスター、これらはAIですがそういうプログラミングはされていません。
ゲームなので大丈夫です。」
(あっ!)
エイミーは、ターニャやユッカをもの扱いするのを嫌がる和彦を思い出し、まずいことを言ったと”はっ”として身構えた。
「そう……。」
しかし、和彦はいつものような反論はしなかった。

「マスター、今日は、お疲れのようですので、ここまでになさっては?」
「そうだね、そうするよ。」
「マスター?
 これは、ゲームなので大丈夫です。
 次は、頑張りましょう。」
エイミーは、和彦を力づけようと、腕を曲げ、力こぶを作ってポーズをとった。
「うん。
 じゃあ、今日は終りにする。」
「はい。
 お疲れ様でした…。」
エイミーはなおもしゃがみ込んでいる和彦の傍にいき、和彦の顔にそっと両手を添えて、自分の胸に引き寄せ抱きしめるように手を回した。
「エイミー?」
和彦はびっくりしたが、エイミーの胸の柔らかさと何とも言えない優しい香りに、エイミーにされるがままにじっとしていた。
1分程経った頃、エイミーはそっと腕をほどいた。
「マスター。
 元気出して、次の冒険に行きましょうね。」
エイミーはそう言うと、にっこりと笑った。
和彦はエイミーの顔を見て、小さく頷いた。

和彦は、目を開けると、そこは自分の布団の上だった。
上半身を起こし、ゴーグルやヘッドギアなどを外し、ゲームチューナーを見ると、モニターに流れていく文字を読んだ。

『We are really looking forward to you coming!(あなたのお越しを皆お待ちしています)』

そして力なく起き上がり、バスルームに入り鏡を見た。
薄暗い電気の光で自分の顔を見ると、白髪のみすぼらしい老人のような変わり果てた自分が映っていた。
「好きで歳取った訳じゃないんだ…。」
そういうと、和彦は鏡におでこを付け、嗚咽を漏らした。
外から、深夜にもかかわらず、救急車のサイレンの音が聞えてきた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

電猫カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
よろしくお願いします

FC2Blog Ranking

委員会に訪問された方
電猫お絵描帳
検索フォーム
リンク