辛気臭い女

和彦は、女性から目を離すことが出来ず、上の空で返事をした。
また、同じ空間の中にいることで、女性の洋服からか、甘いフローラルな良い香りがしていて、和彦は何の香だろうと必死になって頭を巡らせていた。

女性は、謝辞を述べた後、美紀の説明したプロジェクトのこと、今回のモニター募集のことを再度、手短に説明した。
その後、政府公認ということを強調した後、プロフィールの確認と称し、和彦の名前、生年月日、身長、体重、顔写真がモニターに浮かび上がった。
「お間違いでなければ、『はい』と言ってください。」
「は、はい。」
和彦は女性の声で我に返った気がした。

はっきり言って、女性に夢中になっていて、話し半分で聞いていた気がしていた。
そんな和彦に気が付いていないのか、女性はにっこり笑った。
「ありがとうございます。
 これで、最初の手続きは終了です。
 最後に、ゲームに参加されるとき、ご自身の姿を年齢に合わせ選ぶことが出来ます。
 小日向様は、10代後半、20代、30代、40代、現在と5段階で選択されることが出来ます。
 お好きな年代を言っていただくと、その年代のお姿、お顔でゲームに参加できます。
また、背格好も、もう少し身長を高くとか、細身にとか変えることが可能でし、お顔も有名人に似せてということも可能です。
 お顔や背格好は、ゲームの度に選択し直すことが出来ますので、その時の気分で選んでいただけます。
 では早速、今回のお姿を選んでいただきます。
 先程、申し上げましたように、選択はすべて音声認識ですので、年代、格好を言っていただき、決まりましたら『確定』と言ってください。
 そうすると、程なくしてゲームがスタートします。
 また、ゲームのご説明は、ゲームが始まりましたら、コンシェルジュが出てきてご説明させていただきます。
 ですので、遊び方やご不明点がございましたら、そのコンシェルジュにお聞きください。」
「え?
 君じゃないの?」
和彦は思わず抗議の声を出した。

和彦の応対をしていた女性は、にこやかな笑顔を浮かべ、お辞儀をして消えていった。
「ちょっと待ってよ……。」
和彦は、複雑な思いを胸に抱いたが、取りあえずゲームを続けることにした。
そして、言われた通り、年代を言うと、モニター上にその年代の和彦の顔と体形が忠実に再現され、和彦は思わず舌を巻いた。
「なんか、何十年も見張られていたみたいだな……。」
そして、30代の自分を選択し、『確定』と言ってみた。

そして、今、書斎の中で見知らぬ女性と対峙することになっていた。
その女性は本棚に並んでいる古い蔵書の隙間から出てきたような、少し埃臭い匂いがしているようにで、また、どこか不健康で、服装も中世のような重厚なメイド服を着ていた。
「今、かび臭い匂いとか、辛気臭い女と思いませんでしたか?」
女性は、少し怒ったように言った。
「失礼ですが、この服は洗い立てで、薔薇の香りがするんですよ。
 それに、私は、正確な年齢は言えませんが、二十歳代で、若いんですよ。」
「え?
 そうなんだ。」
和彦はびっくりして言った。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

これで、第一回に繋がったんですね(#^^#)

毎回、楽しませてもらってます(^^)/



もちろん、エッチなオジサンなもんでね

>明るく楽しく、すこしH(エッチ)

てトコをして、期待しておりますぞ( ̄▽ ̄)

プロフィール

電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

電猫カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
よろしくお願いします

FC2Blog Ranking

委員会に訪問された方
電猫お絵描帳
検索フォーム
リンク