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『ようこそ』と言われた男

和彦は、荷物を開けながら、美紀と話した時に見せてもらった女の子のイラストを思い出し、(あの娘が出てくるのかな)と思わずひとりでに笑みをこぼしていた。
箱を開けると頭に被る電極らしきものがたくさんついているヘッドギアの様なものとバーチャルリアリティのゲームでよくある両目に合わせ筒形のようなゴーグル、ヘッドセット、それにケーブルテレビのチューナーのようなもの、卓上アンテナが出てきた。
解説書の通り機器をつなげ、電源を入れてみた。
チューナーの様な箱は、通電したのか、赤いランプが付き、小さなモニターのようなところに『READY FOR STARTUP』という文字が浮き上がった。

「運転準備完了?
 ま、いいか。
 そう言えば、Wi―Fiも使えるって言ってたっけ。」
そう言いながら、和彦は自分のスマートフォンを取り出し、説明書通りに設定をしてみた。
和彦は、スマートフォンを持っていたが、生活費に余裕がないため、スマートフォンの電話、通信料が一番安いプランにしていたので、少しインターネットをするとすぐにデータ量の上限を超え、使い辛らかった。
「これで、家にいる時は、ストレスなしにスマフォが使い放題かな。」

和彦は、それだけでもモニターになった甲斐があった気になっていた。
「でも、折角だから、ゲームもしなくっちゃ。
 そうしないと、すぐにモニター取り消しになっちゃうかもな。」
和彦は、説明書に描かれているようにヘッドギアの様なものを被り、ゴーグル、ヘッドセットを装着し、ゆったりした場所でと書かれている通り、布団を敷き、その上に横になった。

暫くすると、音楽が流れてきて、目の前にまるでモニターのような画面が映し出された。
画面はすぐに大きく広がり、和彦は本物のどこかのオフィスの窓口のようなところにいる感覚になった。
和彦は頭を回し、周りを見てみた。
そこは、この前美紀に案内されたインナーブレイン社の入口をくぐったところのようだった。
見回すと和彦の後ろにはビルの入口が、左右は商談が出来る応接セットが置かれ、全面ガラス張りとなっていて明るい日の光が差し込んでいた。
(やっぱり、インナーブレイン社だ)と和彦は感じたが、ただ違和感があったのは、その空間に和彦一人だったということだった。

「ようこそ、小日向様。
 私共の会社のプロジェクトに参加して頂き、感謝しております。」
和彦は急に声を掛けられ、びっくりしてその声の主の方を向いた。
いつの間にか窓口のところに、パンフレットに描かれた女性と言っても10代後半のような女性が、にこやかに微笑んでいた。
その女性は白い花柄のブラウスを着ていて、胸には『インナーブレイン社』を書かれたバッチを付けていた。
また、女性は和彦より小柄で、目鼻立ちがハッキリしている美人タイプで、ストレートのロングの黒髪が印象的だった。
何よりも、バーチャルであるはずなのに、まるで本物の人間と見間違える、というかどこから見ても和彦と同じ人間にしか見えず、また、彼女からは温かさも伝わってくるようだった。
さらに和彦のとどめを刺したのは、パンフレットの写真でも感じたが自分の初恋の女性にどことなく似ているところだった。

「少し、ご説明をしてよろしいでしょうか。」
「あっ、うん。
 どうぞ。」
「ありがとうございます。」
女性は受付で立ち上がり、手を前で合わせお辞儀をした。
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プロフィール

電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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