”おでこ”と”おでこ”が急接近!

和彦は、会社から帰ると、いそいそとヘッドギアやゴーグルなどを装着し、布団の上に横になった。
すぐに、前回と同じ会社の窓口風の場所で、目の前に初恋の子に似た受付嬢らしき女性が出てきた。
「お待ちしていました。
 今日の設定はいかがいたしますか。」
その女性はにっこり微笑んで和彦に尋ねた。
和彦は、何となく恥ずかしさを感じながら、「昨日と同じで」と答えた。
「承知いたしました。」

女性が微笑みながらお辞儀をしようとした時、和彦は思わず声をかけた。
「君は、名前は何ていうの?」
「え?
 名前ですか?」
一瞬、間を置いてから、にっこりと笑い、答えが返ってきた。
「私は、ヒトミと言います。」
「え?」
和彦は、名前を聞いて目を見開いた。
「それでは。」
驚いている和彦を後目に、ヒトミと名乗った女性は消えていった。

(ヒトミって、確か、あの子の名前も……)
そう、和彦の初恋の相手の名も“ひとみ”だった。
それは、高校生のころ、真夏の青空の下、クラスメートとの一人として和彦に笑顔を向けてくれた“ひとみ”、その笑顔を和彦は今も忘れられないでいた。
「学生服ではなく、スーツ姿だったら、きっと、瓜二つだな…。
 あの頃は、今より空が澄んでいて、白い入道雲がぽっかり。
 あの頃が懐かしいな…。」

「…?
マスター?」
和彦は思いにふけっていたが、エイミーの声にはっとして、周りを見渡した。
そこは、昨日と同様に、大きな書斎の中だった。
「マスター、大丈夫ですか?
 何度か、お声をかけたのですが、ぼーっとされていて……。」
「いや、何でもないよ。
 ちょっと昔のことを考えていただけ。」
和彦は訝しがるエイミーを横目に、何もなかったかのように振る舞った。
「ならば、いいですが…。
 お加減の良くない時に、ゲームをすると、お身体に差し障りますよ。
 本当に、大丈夫ですか?」
心配そうな顔をしているエイミーに和彦は笑顔を向けた。
「大丈夫だって。」
「でも…。
 ちょっと、おでこを触らせてください。」
そう言うとエイミーは自分の前髪を片手で持ち上げ、形のいいおでこを出して、和彦に迫って来た。
「え?」
驚く和彦の前髪をエイミーは開いている方の手で、髪を上げ、自分のおでこと和彦のおでこをくっつけた。
「エ、エイミー…。」
「マスター、じっとしてください。」
エイミーの息を顔に感じ、また、エイミーの体温で香り立つような作られた香りではなく何とも言えない若々しい女性の香りを感じていた。
和彦は間近にエイミーの顔を見て、そして、目線を下げ、その胸元を見たが、胸元はメイド服の下に白のブラウスを着ていて、一番上のボタンを嵌めていて、リボンもしていたので、中を覗き見ることは出来なかったが、それが返って和彦を刺激していた。

「少し、熱があるみたいですよ…。
 それに、少し息遣いが荒いような…。」
エイミーはおでこを離し、自分の前髪を手櫛で梳かすようにしながら言った。
「あ、え?
 大丈夫だって。」
(熱いのはエイミーのせいだって、ね)
和彦は、エイミーの残り香を気づかれないように胸いっぱいに吸い込んだ。
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No title

「夢じゃ夢じゃ、夢でござる~」
           by柳生但馬守


タイトルと、
>布団の上に横になった

のくだりを読んで
てっきり、ヒトミちゃんかエイミーが
馬乗りになってるのかと、妄想してしまいましたよ(◎_◎;)


にしても
どこぞの、おバカな看護婦さん以外に
んな事してくれる女の子がいるなんて~( ゚Д゚)







まあ、夢オチでは無さそうなので
恒例の深読みを…

少子化の影響を、まともに受けそうなゲーム業界
インナーブレイン社は新たな購買層として
中高年男性にターゲットを絞った。

そして、入念なリサーチの結果
意外にも、オジサン達は

“お色気むんむんで”迫るより
軽いタッチでのスキンシップを好むコトが判明。




さっそく対応マニュアルが作られ
コンシェルジュたちに配られたのだ!



「はあ?おでこで、お熱を計る? なんですか、こりゃ」
老眼鏡をかけて
マニュアルを読んでたオバちゃんが不満そうな声を上げた


「あ、ハイミーさん。
    あなたは結構ですから読み飛ばしてください」









プロフィール

電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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