拒む?男

「知ってる?」
「え?」
「この前、新しくできたスーパーのカード会員になるのに、名前や住所を書いたんだよ。
 その時、ワザと違う名前を書いたんだ。
 そうしたら、それを渡した時、店員、何て言ったと思う?」
「?」
エイミーは和彦が何を言いだすのだろうと、不思議そうな顔をした。
「『お客様、お名前をお間違いではございませんか?』だってさ。
 申込書を読み込ませ、新規会員なのか違うスーパーの会員になっているのかチェックしているみたい。
 『なんで、僕の名前を間違えてるって言うの?』って聞いたら、店員、大慌てで、何て言ったと思う?」
「??」
「『どこかでお会いして、お顔とお名前を憶えていたので』って。
 『どこ?』って聞いたら、『あ、勘違いでした』ってさ。
 本当、適切に、つまり、都合よく顧客リストとして管理しているんだよね。」
「まあ、個人情報が守られているというのは、大いなる幻想に過ぎないですものね。」
エイミーは相槌を打った。
(あ、だから、僕の珈琲の好みもわかっていたんだ。)
和彦は、そう思い当たったが、エイミーの言うように個人情報なんてどこでどう漏れているのかわからないと感じていたので、特にそこを指摘するのは止めにした。

「賢明ですね。」
「え?」
エイミーのセリフに和彦は一瞬、ドキッとした。
「では、続けます。
 次に、原則としてこのゲームは無料ですが、ゲームを進めていくと課金でアイテムが買えるようになります。
 その決済方法ですが……。」
しばらく、エイミーは棒読みとも思えるように承諾事項を読み続けた。

「ねえ、もういいよ。
 何か、これは大事と思うことだけにしてくれない?」
「マスター。
 承諾事項は、すべて、大事なものになっています。
 ソフトを購入したり、初めて使う時に、承諾事項に目を通しますよね。」
和彦は、きっぱりと首を左右に振った。
“ふぅ”とエイミーはため息をついた。
「まあ、きちんと読む人は少ないですよね。
 では、説明はこの位で割愛してよろしいですか?」
和彦は、今度は首を上下に振った。
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電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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