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天の声?

「あ、気にしなくていいから。
 単なる独り言だから…。」
(でも、最近リメイク版が放送されたんだけどな…。)
(私、もっと、アニメのことを勉強しないと、マスターに着いていけないかもしれない…。)
和彦とエイミーの二人の思いは、微妙に交差していた。
「ま、まあ、何にしても経験値と親密度が重要ですね。」
「そ、そうなんだ。」
和彦は、一瞬考えて、エイミーに尋ねた。

「じゃあ、僕にもその攻撃力とか設定されているの?」
「当然です。
 ゲームに参加するのに必要ですから。
 ただし、マスターには親密度はありません。
 ご自分でご自分をというナルシストでなければですがね。」
「ナルシスト?
そっか、自愛か。」
真剣に考える和彦を見て、エイミーは慌てたように言った。
「まあ、そんなに真剣にならないでください。」
「は、はい。」
和彦は何だか恥ずかしくなり、頭を掻いた。
「?!」
すると誰かの視線を感じ、和彦は周りを見渡すと、ターニャと視線が合った。
ターニャは、相変らず無表情だったが、和彦は何だか馬鹿を言っている自分が気恥ずかしく感じ始めた。

「あと、武器とか装備を強化することで、その武器や装備が持っているポイントが上乗せになります。
 例えば、武器が50のAPを持っていたら、その武器を持つAIのAPが50、上乗せになります。」
(AI、AP、LPって、アルファベットばかりだな。
 そう言えば、AIってなんだろう。)
エイミーの話を聞きながら和彦はふと考えた。
(Artificial Intelligence、人工知能のことです。)
「あ、ありがとう…、え?」
和彦はエイミー以外の若い女性の声が聞えたので周りを見渡したが、エイミーは話の途中で、その声が聞えていないようだった。
ふとターニャと目が合ったが、ターニャは相変わらず無表情で和彦を見ていた。
(ま、まさかね…)
「で…。
マスター?
 どうかしましたか?」
エイミーは、どうしたのかと和彦に声をかける。
「い、いや…なんでも。」
「そうですか…。
では…。
武器や装備は、お金を出して買います。
 あっ、さっきご説明したゲームの中で獲得するゴールドのことです。」
「ふーん、じゃあ、今、僕の所持金は?」
「ありません。
現時点では、マスターは無一文です。」
無一文と聞いて和彦は現実を思い出し、一気に寂しい気持ちになった。
そんな和彦の気持ちを察したのか、エイミーが急いで付け加える。
「でも、マスター。
 これから、あれ…、いえ、ターニャと訓練ダンジョンに行って、当座の資金を稼いできていただきます。
 頑張れば結構稼げますよ。」
「おお!」
和彦は、お金が稼げると聞き、また、いよいよゲームができると、すこしワクワクしてきた。
(単純…。)
「え?」
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はどうほう

「失礼しました。
 では、続きを。」
和彦はエイミーが気を悪くしていないか心配そうにエイミーの顔を見た。
エイミーは、和彦の心配そうな顔を見て、思わず笑いそうになったが、ぐっと我慢して説明を続けることにした。
「このターニャに限らず、ゲームに参加するものはすべて、ライフ、アタックのポイントが設定されます。
 敵と戦うと、アタックポイントを消費します。
 また、敵から攻撃を受けるとライフポイントが減少します。
 アタックポイント、APと言いますが、ゼロになると武器は使えません。
 ですので、ポイントが溜まるまで、敵の攻撃を逃げまくらなければなりません。
 ライフポイントは、LP。文字の通り生命力ですので、ゼロになった時点で、そのAIはリタイアとなります。
そして、全員リタイアになればダンジョン攻略失敗になります。」

「じゃあ、失敗するとどうなるの?」
「ご心配なく、クリアーするまで何度でも挑戦できます。」
「何度も駄目だったら?」
和彦は、真面目に尋ねた。
昔、まだ攻略本等が出回っていない時、ゲームセンターでクリアーできず、大金をつぎ込んだ苦い経験を思い出したからだった。
当然、エイミーは、そんな時代のことは知る訳もなかった。
「大丈夫ですよ。
 私が、最初に攻略のツボをお教えしますし、それでも難しい場合は、更にヒントを差し上げますから。」

「あとは、APもLPも親密度が上がると、それに合わせ上限が上っていきます。
 また、属性として、攻撃力、防御力、爆発力の力も設定されており、それも、経験や親密度に影響され、レベルアップしていきます。」
「爆発力?」
「うーん、何と説明したらわかりやすいですかね。
 そうだ!
 『火事場の馬鹿力』という言葉をご存知ですか?」
エイミーは、なぜか目を輝かしていった。
それは、良い例えを思いついた自分が嬉しくなったからだった。
「うん。
 火事で切羽詰まった状態になると、普段では持てないような火鉢を持って逃げられるというやつでしょ?」
「まあ、だいたいは当たっていますね…(でも、火鉢じゃ体に火が付いちゃいますよ)。
 攻撃中何回か一度の割合でその力が攻撃力に加算され、攻撃力が増すという数値です。」
「ふーん、じゃあ、ターニャがいきなり口から“波動砲”をぶっ放すようなものかな。」
そう言って、和彦はそっとターニャを見たが、ターニャは相変わらず無表情のままだった。
「え?
 はどうほう?
 それって何ですか?」
エイミーは何を言われたか理解できず困った顔をしていた。

プラチナブロンド、その名はターニャ

部屋に入って来た女性型のAIは、プラチナブロンドの長い髪、緑色の瞳が特徴な年のころは20代前後のように見えた。
顔は、ホッソリしていたが、頬は少しふっくらとしていて、目鼻立ちが整っている柔らかな印象の美人というより可愛い印象、身長は、和彦より小柄で細身、服装は良くゲームやアニメに出てくるような、白を基調としたノースリーブのブラウスで膝上のミニスカートのような丈、パーカーのような水色の上着を着るのではなく首に巻いているだけ、下は紺のデニム調のホットパンツ、白のソックスに茶色のゴム底のウォーキングシューズのような靴を履いていた。
そして手には、大型拳銃のようなマニアにはよだれが出そうなほど重厚感があるカービン銃の様な銃で、思わず『かっこいい』と口に出しそうな、さもいろいろと機能が満載しているぞと言わんばかりの銃を持っていた。
とにもかくにも、そのAIが部屋に入って来て、部屋の中が一段と華やかに思えた。
また、先ほどのホログラムと違い実物(?)の綺麗さに和彦は息をのんだ

「これは『アーチャー』のAIで、名前をターニャと言います。」
エイミーはまた、物扱いをしていた。
「ターニャ?
 北欧風の名前だね。」
和彦は、ぼーっとターニャを見ていたせいか、エイミーの物扱いに気が付かなかった。
「そうですね、名前もマスターの好みに合わせ設定されています。」
「ターニャです。
マスター。」
ターニャと名乗るAIは無表情に自己紹介をして和彦にお辞儀をした。
お辞儀をすると、そのプラチナブロンドの長髪のサラサラと流れ落ちていった。
そして顔を上げると、やはり無表情で和彦を通り越し、どこか壁を見ているようだった。

エイミーは和彦の視線がターニャにくぎ付けになっているのを見て、コホンと一つ咳払いをして、和彦の注意を自分の方に向けた。
「マスター、大丈夫ですか?」
「あ、ああ…。」
「それでは、説明を続けさせていただきます。
このゲームでは、仲間は最初、親密度が0(ゼロ)となっています。
 要するに、人見知りの激しい子を相手していると思ってください。
 それで、ゲーム中に話しかけるなりすると、親密度が上がり、それと同時にパワーレベルも上がっていきます。」
「人見知り?
 人見知りの激しい子供?」
和彦は無表情で挨拶をしたターニャを思い出し、また、今も無表情で立ち尽くしているターニャを見て。エイミーの言ったことに納得した。
「それと、これには…。」
「これじゃなくて、ターニャ!」
和彦は名前で呼ぶようにとエイミーの言葉をわざと途切れさせた。

目移りする男

和彦の理解できていない顔を見て、エイミーはゆっくりと丁寧に説明を続けた。
「『セイバー』は剣士です。
 当然、剣を使った攻撃が主で、接近戦が得意です。
 『ランサー』は槍の使い手です。
 セイバーと違って少し離れて敵を攻撃します。
 まあ、剣で切り付けるのと、長い槍で突くのとの違いですね。
 『アーチャー』は弓などの飛び道具での戦いが得意です。
 離れたところを攻撃しますが、短銃やライフルなど持つ道具によって異なります。
 一般的に、ランサーの槍が破壊力は強いです。
 セイバーはランサーほどではありませんが、切る、突く、払うなど、相手に与えるダメージは大きいです。
 アーチャーは、離れた敵、飛び道具を持つ敵には有効ですが、接近戦ではセイバーやランサーにはかないません。
一長一短ですね。
今回は、その3種類の職業の中から一人ずつ、要は3人の中から最初の仲間を一人、選んでいただきます。」

そう言い終わると、エイミーは“パチン”と指を鳴らした。
すると、目の前の空間に各々の武器を持った人物のホログラフが表示された。
3名とも女性の人型のAIで、セイバーは、ダークブロンドの髪、ヘーゼルの瞳が特徴、ランサーは濡烏髪(黒髪)にブラウンの瞳、アーチャーはプラチナブロンドの髪に緑色の瞳が特徴的な美女たちだった。
「3名とも、マスターの好みかと思いますが。」
エイミーは自嘲気味に笑った。
『そう言えば』と和彦は、まじまじとエイミーの瞳を見た。
エイミーはダークブラウンの髪に、茶色の瞳をしていた。

「さ、どれにしますか?」
「どれって。
 誰にするかじゃないの?」
和彦は物を差すような言い方をするエイミーに違和感を感じた。
「すみません。
 彼女たちは、プログラム、AIなのでつい……。
 では、改めて誰にしますか?
ここで選ばなかったものは、後でも出てきますので、その時に仲間に加えることも可能です。」
エイミーは目移りしている和彦を察してか付け加えた。
「じゃあ、昔からモデルガンが好きだったから、アーチャーの娘にするよ。」
「はい、承知しました。」
エイミーは、何を思ったのか恭しく答え、お辞儀をし、ドアの方向に向かって声をかけた。
「さ、入っていらっしゃい。」
そういうと、ドアが開き、ホログラフで見たプラチナブロンドの髪で緑色の瞳のAIが入ってきた。

ハトは出ません!

「では、説明を受け、すべて承諾するとその書類のお名前を書く欄にサインをお願いできますか?」
「もちろん。」
和彦はそう答えると、エイミーから書類を受取り、その書類にサインをして、エイミーに戻した。
エイミーは書類のサインを確認すると、どこからか取り出した封筒にその書類をしまった。
「なんか、手品みたいだな。」
「ハトは、出ませんよ。」
不思議そうな和彦の顔を見ながらエイミーは笑って答えた。

「では、ゲームのご説明をさせていただきますね。」
そういうと、エイミーはにっこり笑い小首をかしげて見せた。
(可愛いな~♪)
和彦はエイミーの何気ないしぐさを見て、グイグイと引きこまれていくようだった。

「このゲームは、様々なダンジョンが用意されていて、その中を冒険しながら、敵キャラを倒していくアドベンチャーゲームとなっています。
 先程、マスターが言われたように、道中で仲間を増やしたり、仲間を強化させ、凶悪な敵、怪物を撃破していきます。」
「ふーん。
 剣士や魔法使いはいるの?」
「はい。
 現在、職業として『セイバー』『ランサー』『ウィザード』『バーサーカー』『アーチャー』『ウォリアー』などが用意されています。」
「え?
 なんで職業なの?」
「まあまあ、そんな細かいところに食いつかないで。」
エイミーは、さらりと受け流しながら、説明を続ける。

「職業の各々は、長所と短所がありますので、出てきた敵に合わせ迎撃します。
 マスターは、敵を見て、仲間に指示を出し、撃破していきます。
 敵を撃破すると、賞金やいろいろなアイテムを獲得することが出来ます。」
「その賞金で武器を買ったり、アジトを強化したりできるんでしょ?」
「はい、よくご存じで。」
エイミーは感心したように頷いた。
「ああ、今流行りのトラ猫ダンジョン物語と一緒だ。」
和彦は、ほとんどゲームらしいゲームをやっていなかったが、宣伝で出てきた女性キャラが気に入って、唯一、そのゲームだけ楽しんでいた。
「あれは、カードゲームですが、このゲームは戦闘シミュレーションゲームです。
 くどくど、説明するよりは実際に遊びながらの方がわかりやすいですね。」
「そうしてくれると助かるよ。」

「では、最初はこちらからのプレゼントでマスターの仲間を一人つけます。
 『セイバー』『ランサー』『アーチャー』のどれがいいですか?」
「え?」
突然だったので、和彦は言葉に詰まった。
プロフィール

電脳子猫@委員会

Author:電脳子猫@委員会
エロ、グロ、怖いのは苦手。
時代劇や明るくちょっとエッチなSF好きのコンピュータエンジニアです。
どこかで読んだこと、見たことがある?
そんなことも随所に出て来るかと思いますが、それもお楽しみとして。
あくまでもオリジナル小説を目指します。

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